2011年4月アーカイブ

『闇金ウシジマくん』という漫画を読んでみました。TVドラマ化もされており、なかなかインパクトのある漫画です。主人公は、10日で5割の金利でお金を貸し付ける、ヤミ金融業者のウシジマくんです。同じくヤミ金業者が主人公である、『ミナミの帝王』では、主人公の萬田銀次郎が10日で1割の超高金利でお金を貸し付けます。俗に言う、「トイチ」の利息ですが、このウシジマくんは、その5倍、10日で5割です。「トゴ」です。ヤミ金の漫画というよりも、ヤミ金から借り入れをした人の繰り広げる人間ドラマが非常に引きつけられるものになっています。何話かでひとつのまとまりのエピソードが繰り広げられますが、ラストは、たいていブラックな結末が待っています。

もともと、ヤミ金融からの借り入れについては、出資法違反の暴利については無効であり、支払いの必要はありませんが、暴利を貪る目的で貸し付けた場合には、その貸付元金についても返済の必要がないという最高裁判決がありますが、『ウシジマくん』では、法律はあまり登場しません。法律ではなく、借りた側も貸した側も、知恵と度胸で対処していきます。ただ、上記のとおり結末はブラックな場合がほとんどなのですが(笑)。

他にも、法律を扱った漫画で面白かったのが、『カバチタレ!』というものがありました。主人公は、法律の力で社会的弱者を救いたいと願う行政書士です。弁護士法72条には、「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件・・・その他の法律事務を取り扱い・・・をすることを業とすることができない」とされており、行政書士は法律事務を業とすることはできないのですが、この漫画では、弁護士並みに法律問題に関与していきます。本作の登場人物のセリフで、「日本には弁護士が不足しており、事実上その不足を行政書士や司法書士が補っているという事実がある」という発言があり、確かにそのとおりです。最近でこそ、司法書士には簡易裁判所の代理権が付与され、弁護士の数も増えましたが、かつては司法過疎と言われる、相談したくても、法律相談の窓口がまったくない地域が多くありました。

この漫画は、作者が行政書士であることもあり、漫画の中心的な素材となるのは、法律知識であり、その使い方です。読んでいると、結構幅広い法律知識が身に付きそうです。こちらの漫画に関しては、
『ウシジマくん』とは違い、ハッピーエンドが多く、読んだ後ホッとするものが大半です。
過払い金というものが存在するということは、近年ではニュースなどに登場することも多くなり、一般的に有名になってきました。長期間消費者金融のような高利の貸金業者と取引を継続すると、グレーゾーン金利と言われる違法金利部分が払い過ぎを生み、返還請求できることがある、というようなイメージが浸透してきていると思います。

しかし、少し勘違いされている方もおられます。よく、グレーゾーンに該当する部分の金利を全部合計して、それを返還請求できるという風に考えている方がおられますが、それは少し違います。払い過ぎた金利は、借り入れの残高がある段階では、返還の請求はできません。借り入れ残高があるときには、払い過ぎた金利は、まず「元金に充当」されます。返還よりも充当の方が優先されます。

この計算方法の根拠は、最高裁の判例です。最高裁昭和39年11月18日では、「債務者が、利息制限法所定の制限をこえる金銭消費貸借上の利息、損害金を任意に支払つたときは、右制限をこえる部分は民法491条により残存元本に充当されるものと解するを相当とする」とし、利息制限法超過の支払いについては残元金に充当すべきと判断したのです。

そして、このように元金に充当していくことを繰り返せば、長期間取引をすると元金はすべて返済されます。しかし、それでも返済が継続されれば、この完済以後の支払いが、過払い金であり、返還請求の対象となります。

では、取引を継続した後に再借り入れしたときはどうでしょうか。この場合は、完済と再借り入れの態様により、充当計算ができる場合とできない場合とに分かれます。平成20年1月18日の最高裁判例では、第1の取引と第2の取引とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができる場合に当たるなどの特段の事情がない限り、第1取引により生じた過払い金は、第2取引に係る債務には充当されないとしました。この点については、現在しばしば問題となる点です。充当計算ができなければ、第1の取引により生じた過払い金返還請求権は時効により消滅してしまうようなケースもありますので、このようなケースではなかなか和解もできないことが多いです。

司法書士が過払い請求を解説
過払い金返還請求、利息制限法についての携帯サイト。
過払い金の返還については、近年、訴訟上行われることが多くなってきています。過払い請求の増加や、貸金業法の改正による貸金業者の経営の悪化などにより、任意の交渉では、合意に至らないケースが増えてきているためです。今回は、一般の方が過払い金の返還請求訴訟を提起された場合の手続きの進み方を、訴状を提出した後の第一回口頭弁論期日から、簡単にお話したいとおもいます。

まずは、裁判所で法廷の場所を確認します。通常、開廷表が貼ってあったり、帳面が備え付けられていたりしますので、それで確認します。

そして、法定では、裁判所事務官の方による受付がありますので、本人確認のできる資料、たとえば運転免許証などを提出して、受付が終わったら、傍聴席で名前が呼ばれるのを待ちます。

そして、名前が呼ばれてから、裁判官に向かって左側の原告席に座ります。過払い訴訟の場合、たいてい被告は第1回期日は欠席しますので、原告しか出廷していないことがほとんどです。

すると、まずは裁判官が、「原告は訴状を陳述しますか?」または「原告は、訴状の通り陳述するということでよろしいですね?」などと聞かれますので、「はい」と答えます。裁判の書類は、裁判所に提出しただけでは主張したことにはならず、それを裁判上陳述することで初めて主張したことになります。これは、証拠類についても同じですので、訴状陳述の後、「甲1号証を提出しますね?」などと聞かれます。これにも「はい」と答えます。

次に、被告が欠席しているときには、「被告の答弁書を擬制陳述」などと裁判官がつぶやき、これで被告が提出した答弁書の内容も、裁判上主張されたことになります。

これで、第1回期日は終了となります。次回の期日の打ち合わせをしてから終了となります。約1ヶ月後に次の期日が入りますので、来月の予定表や手帳を持っていくようにしましょう。

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